何度でも、伝える愛の言葉。

「先生と会って何を話したんだろう。」

『そこはやっぱり、本人に直接聞いた方が良いと思うよ。』


誠ちゃんの言葉から、樹季くんが先生に会いに行ったこと以外に知っていることはないんだと察する。

私は都合の良い存在でしかなかったと、先生は樹季くんにも言っただろうか。


直接確認すればいいと言うけれど、その確認がこんなにも怖くて難しい。



「…ごめんね、こんなときに変な話して。」


ふと我に返り、誠ちゃんに向き直る。

悟くんから私たちの恋愛に振り回されていると言われたばかりなのに、こんな話を誠ちゃんにしてしまった自分が情けない。



『いや、いいよ。大事なことだろ?』


それを受け止めてくれる誠ちゃんはやっぱりとても優しくて、誠実だ。


ひたむきに音楽に打ち込み夢を追う姿を見てきた。

誠ちゃんだけじゃない。

悟くんも、悠くんも、樹季くんも。

4人の想いが、夢が、報われてほしいと願うのは自分が外側にいるからだろうか。


私がバンドに入ったりなんかしなければ…。


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