何度でも、伝える愛の言葉。

「皆のところに戻ったら、悟くんとちゃんと話してほしい。」

『悟と?…どういうこと?』

「どうして一緒にバンドをしてるのか、これからどうなりたいか。悟くんの気持ちを聞いてからもう1度考えてほしいの。お願い…お願いだから、4人は離れ離れにならないで。」


短い期間だったけど、4人のことを見てきた。

4人が鳴らす音楽も、作る曲も、ずっと近くで聴いてきた。

それぞれの良さを最大限に引き出しながら足りない部分を補い合って。

誰ひとり欠けても成立しないバランスで鳴らされる音に、ずっと心を掴まれていた。


だから離れてほしくない。

たとえ悟くんの気持ちが、最初の動機が多少曲がっていたとしても。


Refrainというバンドは、この4人でなければ成り立たない。



『澪ちゃんは、離れても良いのか…?』


自分の話をしていてもなお私のことを気にかけてくれる優しさに胸が詰まる。

離れたくなくても、離れなければいけない。

それが、バンドの為に今私ができる唯一のことだから。


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