何度でも、伝える愛の言葉。
「私は、これ以上バンドに居ることはできないから。私ひとりの気持ちが定まらないだけで皆に迷惑かけて…。」
『迷惑なんてかけてないだろ?』
「もうこれ以上…樹季くんを傷付けたくない。」
誠ちゃんの前ではいつだって嘘がつけない。
ごまかすこともできない。
私がバンドに居られない1番の理由は、本音は、樹季くんに対する申し訳ないという気持ちだった。
『樹季を傷付けたくないと思うなら、ちゃんと向き合ってやってほしい。俺も今からメンバーと話すから、澪ちゃんもちゃんと話しなよ。』
「うん…。」
ずっと向き合うことから避けてきた。
先生のことも、樹季くんのことも。
しっかりと向き合うことで得られた何かがあったかもしれないのに。
ただ失うことを恐れて、樹季君の優しさに甘えた。
『澪ちゃんはどう思ってるか分からないけど、俺は楽しかったよ。一緒にバンドできて。本当に楽しかった。』
「ありがとう、誠ちゃん。私も楽しかった。」
口を開けばすぐに彼女の話だけど、練習には誰より本気で取り組む。
底抜けに明るくて、いつも笑顔で。
その明るさに何度助けられたか分からない。