何度でも、伝える愛の言葉。

メンバーの元へ戻った誠ちゃんを見送って、自分の気持ちを整理する。


バンドを辞める。

その気持ちは、誠ちゃんとメンバーとの話し合いが終わってから伝えようと思った。

私の存在がバンドの温度を下げてしまっていたことは、きっと話し合いの中で出るだろう。

その後で私が辞めたいと言っても、誰も引き止めないはずだ。


悟くんの気持ちを知った誠ちゃんは傷付いてしまうかもしれないけど、もう1度4人の想いを確かめ合ってほしかった。

本気でデビューしようと練習してきたこと、4人で見た夢。

誠ちゃんのお兄さんが居たから一緒にやってきたのではなく、誠ちゃんだからやってこれたのだと気付いてほしい。


そして誠ちゃんがバンドを辞めることを考え直してくれたら…。


冷静に考えてみると、デビューしてから結果を出せばきっかけなんて超えて行けると言った悟くんの言葉は正しく思えてくる。

だからこそ、お兄さんもこの話を持ってきてくれたのだ。

そう信じたい。


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