何度でも、伝える愛の言葉。

会いたい


【樹季 Side】


誠太と澪が出て行った部屋に3人。

ギスギスと張り詰めた空気の中に居る俺たちは誰も口を開こうとはしなかった。

この短時間にいろんなことがありすぎて、頭がパンクしそうだ。


デビューの話が誠太の兄貴によるプッシュだったこと、そのデビューの仕方を誠太が躊躇ったこと、悟がこのメンバーでバンドをしてきたのは誠太の兄貴が居たからであること。

そして、悟が実は俺や悠斗の恋愛を快くは思っていなかったこと。

その理由が澪の存在であること。


整理してみても、すぐに受け止めきれることばかりではなかった。

悟が良基さんの名前を出してまで澪を問い詰めるとは思いもしなかったし、俺と良基さんのどちらが好きなのか澪が答えないまま飛び出してしまったこともショックだった。


もちろん俺が好きだと答えてほしかった。

だけど澪が答える前に俺が遮ってしまったのは、どこか勘付いている自分が居たからかもしれない。


澪と良基さんの1年を、俺は超えられないと。


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