何度でも、伝える愛の言葉。
『怒ってねぇよ。だって、納得だもん。てか普通そうだよな!』
まただ。
無理をしているわけでも、自虐的に言うわけでもない。
本当に、本心からそう言っている。
『…やっぱ誠太は誠太だな。』
悠斗の呟きに俺と悟は心から頷く。
そうだ、この明るさと大らかさこそが誠太なのだ。
デビューの話を聞き葛藤していた姿を浮かべながら思う。
「本当だよ。絶対怒ったと思ったわ。」
『俺も怒るかと思ったけど、なんかしっくりきちゃって。これも兄貴がくれた縁で、だからお前らと一緒にバンドできてたんだって思うと…ありがたいよな。』
「照れくさいこと言うなよ。」
『やっぱ兄貴には適わねぇわ。』
つい先程までの重かった空気が、誠太に引き上げられて明るくなっていく。
その、少し柔らかくなった空気の中にドスっと乾いた音が響いた。
音に驚いて見ると、悟が椅子から崩れ落ちていた。
『悟…。』
誠太の呼びかけに、悟は頭を抱えて蹲る。