何度でも、伝える愛の言葉。
『ごめん…誠太。俺、俺ほんとに…』
そこから先は嗚咽で言葉にならない悟の気持ちが、痛いほどに分かる。
有名ギタリストの兄貴を持つ誠太だからこそ一緒にバンドをやってきた。
そのツテでデビューできるかもしれないという下心を抱えて。
でもそんな悟の気持ちを誠太は笑って受け止め、それも兄貴がくれた縁だと素直に喜んだ。
悟のことも、その計算や目論見を責めることも初めから頭にないかのように。
一緒にバンドをしてこれたことに、心から感謝している。
悟にとって、こんなにも心に刺さる優しさはないだろう。
自分の考えが恥ずかしくて、後ろめたくて、バカみたいだと。
思い切り自分を責めているはずだ。
『俺、ちゃんと分かってるから。悟が俺と一緒にバンドやってきたのは兄貴だけが理由じゃないって。』
誠太は椅子から腰を下ろし、悟の傍にしゃがみ込んで言う。
その光景を、俺と悠斗は祈るような気持ちで見ていた。
ちゃんと、分かり合えますようにと。