何度でも、伝える愛の言葉。
『俺、デビューの話とか兄貴のこととかいろいろ聞いて混乱して…バンド辞めようと思った。』
「え?ちょっと待てよ。」
『違う違う、最後まで聞いてくれ。』
辞めるという言葉に全員が反応し、誠太が慌てて遮る。
ここまでバンドをやってきて辞めると言った者は1人も居ないから、その一言が一発で刺さった。
『俺が辞めるって言ったら…』
誠太はそこで少し言葉に詰まり、慎重に言葉を重ねる。
『澪ちゃんがメンバーとちゃんと話してって言ったんだ。俺がどうするかは悟の気持ちを聞いてから決めてほしい、4人は離れ離れにならないで、って。』
「澪…」
『あんまり必死になって言うから俺も冷静になって、悟の話をちゃんと聞こうと思った。そのときは何のことか全然分かってなかったけど、こういうことだったんだな。』
一緒にバンドをする理由。
共にひとつの音を奏でる理由。
『それで、誠太はどうしたいんだ?』
悠斗の質問に誠太の表情が引き締まる。