何度でも、伝える愛の言葉。

『兄貴のことを素直に尊敬してるのにいつまでも兄貴に縛られてる自分が嫌だった。
兄貴のツテでデビューしたくないなんて、これまで散々世話になってきたのにおかしいよな。』


それが、誠太の答えだった。



『俺、お前らとデビューしたい。』


はっきりと前を向いて言った誠太の表情は、何かを振っ切ったように強い意志を感じさせた。

もう迷いはないのだ。

俺たちと、このメンバーで、デビューするんだ。



『おっしゃー!』


悟が素直に歓喜の声を上げる。

もう涙は乾いている。

悟もまた、何かを振っ切り迷いを捨てた。



『本当にデビューするんだな、俺たち…なんかすげぇなぁ。』


悠斗はこんなときもクールに、でも確実に喜びを噛み締めている。

灯里ちゃんとの明るい未来もきっと待っているはずだ。


俺は…

俺はどうして、そんな3人の姿をまるで外から眺めているように声が出せないのだろうか。



「澪は、」


そうだ。

澪が居ないからだ。


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