何度でも、伝える愛の言葉。

『…コンビニ裏にある公園のベンチ。動いてなかったらそこに居る。』

「ありがとな。」

『樹季!』


誠太の言葉を聞き終わるのと同時に部屋を飛び出そうとした俺を、誠太の声が引き止める。



『でも今は、今日は、行かないであげてほしい。』

「なんでだよ!」

『気持ちの整理がついたら、絶対に澪ちゃんから話してくれるはずだから。』


それはその通りだと思う。

だけど俺は今、今澪に会いたいんだ。



『樹季っ!』


呼び止める声には振り向かず、俺は部屋を飛び出した。

ライブハウスから出ると外は暗くなり始めていた。


今すぐ会いに行くから。

頼む、居てくれ。


そう願いながら走り、辿り着いた公園のベンチに澪の姿はなかった。



「くそっ、」


少し遅かったのか。

居場所を確認しようと電話をかけてみるけれど繋がらない。

まだ近くに居るかもしれないと辺りを走り回っても澪の姿は見当たらなかった。


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