何度でも、伝える愛の言葉。

昨日は決心がつかなくて樹季くんのメールに返信できなかった。

「話したいからスタジオ近くの公園で待ってる。」と送り家を出る。

樹季くんがすぐにメールを見て来てくれるとは限らないけれど、何時までも待つと決めて。



『…日々野さん?』


その公園へ向かう途中、後ろから名前を呼ばれて振り返ると思わぬ人が立っていた。



「三好さん…」


同じスクールに通っていた三好さんだった。

見慣れない他校の制服姿で、あの日と同じようなまっすぐな目をしている。



『忘れられてるかと思った。』


忘れるはずがない。

私と先生の日々を壊したのはこの人なのだ。

三好さんの言葉ひとつで、私と先生の穏やかな日々は変わってしまった。



『そんな目で見ないでよ。』


私が黙っているからか、三好さんは困ったような声で言う。

私は今どんな目をしているのだろう。

あの日の三好さんのように、敵意に満ちているのだろうか。



「何か、用ですか?」


やっとのことで絞り出した言葉に、なぜか三好さんはとても悲しそうな顔をした。



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