何度でも、伝える愛の言葉。
翌日は悠斗に言われた通り、ちゃんと授業に出た。
学校帰りに悠斗、誠太と共にスタジオに寄ると先に悟が来ていた。
今日はスクールが休みだったからバイト終わりらしい。
『澪ちゃんは?』
俺が最初に思ったことを誠太が聞いた。
悠斗も思っていただろう。
スタジオに入った瞬間にキョロキョロと澪を探していたから。
『今日は見てないけど。スタジオにも来てないっぽい。』
『誰か連絡取った奴いる?』
悠斗の問いには誰も答えない。
今日はバンド練習をするとは言っていないから別に来ないなら来ないで良いんだけど…。
無意識に気にしてしまうのは、ここに澪が居ないと違和感を感じるからだ。
楽器の前で、メンバーが欠けているという違和感。
「澪ってバイトとかしてんのかな?」
『さぁー 聞いたことないけどしてないんじゃね?』
「してたら言うか。」
まだそういう話はしたことがない。
半ば強引にバンドに誘ったけれど、目指していることはあるのだろうか。
本気でデビューを目指す俺たちと完全に同じ方向を見ているとは、今はまだ言えない。
『澪ちゃんも悟と同じ通信ってことはさ、平日は学校行ってないわけだろ?普段何してんだろね。』
誰も踏み込めないところに平気で踏み込めるのが誠太だ。
誠太の言葉には嫌味がない。
『その辺は俺も知らねぇわ。曲も一緒に作りたいとは思ってんだけどなかなかペースが掴めないんだよな。』
『それは仕方ないだろ。まだ入ったばっかだし、澪には澪のペースがあるんだから。』
『おぉ、随分分かってるねぇ。』
悟の茶々を悠斗は苦笑いで流す。
『こんにちは。』
そのとき、スタジオのドアが開き、澪が顔を覗かせた。