何度でも、伝える愛の言葉。

『澪ちゃーん!待ってたよ!』

『あ、ごめんなさい…皆集まってるって知らなかったから。』

『いーのいーの!ほらほら入りなよ。あ、キーボード持とうか?』

『はぁ…ありがとうございます。』


いきなりハイテンションな誠太を澪が不思議そうに見ている。

嫌な予感100%だ。



『誠太さん…』

「あ、澪っ」

『澪…』

『澪!』


俺と悠斗と悟。
3人の声が見事に重なる。

…が、遅かった。



『何か良いことあったんですか?』


誠太は待ってましたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべている。



『あぁ…聞いちゃったよ。』


悟が諦めたように呟いたときにはもう誠太のマシンガントークは始まっていた。

…あ、マシンガン“ノロケ”トーク。



『でさ、彼女が言ってくれたわけ。誠太くんは腕の筋肉が格好良いから世界一タンクトップが似合うよね〜って。』


…なんの話だ。



『だからさ、俺はデビューしてスタイリストさんとか付いてくれちゃったりしても、タンクトップを貫こうと思ったわけよ!』


…だからなんの話なんだ。

悠斗と悟は完全無視を決め込んで楽器をイジっている。

聞いてみたいと言っていただけあって、俺たちにはもう聞き飽きた誠太のノロケ話も澪は楽しいようだ。

まともに話を聞いてもらうのがおそらく久々であろう誠太も、次から次へと聞いていて恥ずかしくなるような話を投下している。



『は〜い、そこまでー!練習始めまーす!』

『いや、まだ話終わってないから!』

『リーダー命令により強制終了!』


誠太は『えーー!』と盛大なブーイングを悠斗に浴びせながらも“リーダー命令”に従いドラムの前に座る。


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