何度でも、伝える愛の言葉。
樹季くんの言葉が、表情が、目を閉じればすぐに浮かんでくる。
全てを知った上で私に好きだと言ってくれた人。
忘れたい過去を一緒に上書きしようとしてくれた人。
共に未来を歩こうとしてくれた人。
私はその人を傷付け裏切ってしまった。
樹季くんの為にできることは良基さんと幸せになることだと思うのは私の傲慢だろうか。
それでも信じるしかない。
樹季くんは私たちのことを応援してくれていると、図々しく信じるしかないんだ。
良基さんと別れ、辞めてから近付くこともしなくなったスクール。
裏側にぽつんとあるベンチの側へ行くと、そこに良基さんが座っていた。
見慣れた背中に鼓動が大きく波打つ。
私が全て知ったことを、きっと良基さんはまだ知らない。
突然現れた私をまた突き放そうとするかもしれない。
それでももう動じないと決めた。
たとえまた良基さんが嘘をついたとしても、それを本当にしようとなんかしない。
必ず、本当の想いだけを伝え合いたい。