何度でも、伝える愛の言葉。
「足手まといって?」
『皆、そんなに本気でデビューしたいって思って頑張ってるのに、私が足ひっぱっちゃいそうで怖いな…って。』
怖い。
澪がそんなネガティブな想いを素直に口にしたのは初めてだった。
でも…
「足手まといになんてなるわけねぇだろ。俺らもうメンバーだし、澪が居てくんねぇとライブもできないからな。」
『樹季くん…。』
お世辞でも何でもなく、本当に思っていることをそのまま伝えると、澪は安心したように小さく笑った。
『私、頑張る。皆といつか一緒にデビューできるように。』
「澪…、それ本気で思ってくれてんのか?」
皆、どこか不安で聞けなかったことだ。
『思ってるよ?もちろん本気で。』
そう笑った澪の笑顔に嘘はなかった。
ピアノを弾く資格がない、そう言っていた頃の澪ではないようだった。
少なくとも、このときの俺にはそう見えた。