何度でも、伝える愛の言葉。
◆第二章◆

【悠斗 Side】



『悠斗!』


5人になって初めてのライブが終わった後の帰り道で、悟が俺の肩を掴んだ。



『お前、なんだよ今日の。』

「悪かったと思ってるよ。ちょっと1人にしてくれないか。」

『おい、待てよ!』

『悟。』


樹季が悟を止めた隙に1人で先を急いだ。

ライブは上手くいったし、周りから見れば成功と言えたかもしれない。


澪も初ライブをしっかりとこなし、ライブハウスのスタッフからも好評を得ていた。

ただ俺は、ここ最近の練習で出せていた程の演奏はできなかった。

それを知っているから、悟はきっと納得がいかなかったのだろう。


自分でも出来が悪かったことくらい分かってる。

その原因も、はっきりしている。


昨日、樹季に言われたことだ。

久しぶりに灯里のことを言われ、自分でも驚く程分かりやすく動揺していた。


ある日、突然俺の前から居なくなった、大切な大切な恋人。



< 35 / 276 >

この作品をシェア

pagetop