何度でも、伝える愛の言葉。

先生は今日もあの綺麗なギターを持っていた。



『やっと来たね。』


そんな風に笑いながら。



「スクールにはずっと通ってますけど…？」


言葉の意味が分からずにそう答えると、先生が小さく笑った。



『それは知ってるよ。だから俺はここでギター弾いてんじゃん。また忘れ物取りに来るんじゃねぇかな、なんつって。』

「え…？」


忘れ物、取りに来るんじゃないかって…私が？



『でも全然忘れ物しないのな、君。』

「あ、日々野澪です。」

『日々野さん、辞めてなくて良かった。』


話に付いていくのが精一杯で、本当に状況が飲み込めない。


だけど先生の決してからかっているわけではない真剣な表情と、少し低くなった声のトーンに心臓の鼓動は早くなる。

どうして、私が忘れ物をあまりしないことを残念がっているのか。

辞めてなくて良かったとはどういう意味か。


疑問は次から次へと生まれる。


私がこの時間にここに来ることを、待っていてくれたの…？