何度でも、伝える愛の言葉。

先生と付き合い始めたのはそれからすぐ後のこと。

先生は私を澪と呼ぶようになり、私は2人きりのときだけ先生を下の名前の良基さんと呼ぶようになった。


ひとりになる怖さを抱えたまま、私たちはずっと一緒に居た。

一緒に居ない時間は不安で堪らなく、お互いの心の隙間を埋めるように、ずっと2人で。


“恋”というものを初めて知った私は、同時にこんなにも人を愛せるのだと知った。


私が弾くピアノを好きだと言ってくれる先生と、先生が弾くギターを好きだという私。


会えない時間は、ピアノを弾いてその寂しさを紛らわした。

先生もきっと同じだったと思う。



だけど…


そんな私たちの穏やかな日々は、ある日突然変わってしまった。



『日々野さんって、早坂先生とどういう関係なの?』


始まりはその一言。


私が、先生が、またひとりになる始まり。



< 71 / 276 >

この作品をシェア

pagetop