何度でも、伝える愛の言葉。

『何とか言えば?』


それでも何も言えないまま、気まずい沈黙が流れる。

このままじゃ先生とのことが知られてしまう。

2人だけの、秘密なのに…。



「何も、」

『どうかしたのか?』


私の声を、ドアが開く音と先生の声が遮った。

私しか居ないと思っていた教室にもう一人居たことや、そのただならぬ空気に先生の表情が強張る。



『三好さん、俺に何か用かな?』


先生の言葉で彼女の名前が三好(ミヨシ)さんだと思い出す。



『日々野さんとどういう関係なんですか?いつも2人で話してること私知ってますよ。』

『何もないよ、三好さんが想像してるようなことは。』


先生は全く動揺することなく、淀みなく嘘をついた。



『じゃあどうして日々野さんはそんなに焦ってるの。』


突然私に話が戻り、また鼓動が早くなる。



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