何度でも、伝える愛の言葉。

先生から『少し距離を置こう』と言われたのは、それからすぐのことだった。

理由を聞いても答えてもらえず、スクール内で会うこともなくなり、やがて連絡も取れなくなった。


先生…どうして?


本当は、先生がスクールに来た頃の女子生徒みたいにスクール内を探し回りたかった。

だけど『距離を置こう』と同時に言われた『ギターコースに来るな』という言葉が私を縛っていた。


先生は確かにスクールに来ている。

なのに会えない。


ひとりにしないって約束したのに…私だって、先生から離れないって約束したのに…。



『日々野さん。』


そんなある日、私に声をかけてきたのは三好さんだった。



「三好さん…」

『私のこと覚えてくれてたんだ、嬉しい。』


全く心の込もっていない声にゾクゾクとした緊張が走る。



『日々野さんって、早坂先生と何もないんだったよね?』

「う、うん…。」

『嘘つき。』

「えっ?」


射るような三好さんの視線が痛い。

嘘つきって、何…?



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