何度でも、伝える愛の言葉。
今日は入りが良いようでライブハウス内はほぼ満員になっていた。
だからと言ってやることは変わらない。
ただ全力で自分たちの音楽を届けるのみだ。
*
『いや〜良かったね今日!』
ライブ後、誠太のご機嫌な声がステージ裏に響く。
出番を終えてステージを降りても、観客からは温かい拍手が続いていた。
今日はいつもよりも観客のノリがよく、俺たちのライブもかなり盛り上がった。
誠太がご機嫌なのも頷ける。
「早坂先生、来てた?」
俺は澪が近くに居ないことを確認して悟に耳打ちした。
『来てたよ。澪が気付いてたかどうかは分かんねぇけど。』
そっか…来てたのか。
澪は、その姿を見ただろうか。
『青いチェックのシャツに黒いジャケット、短髪の茶髪。』
「え?」
『早坂先生、まだフロアに居ると思う。背が高いからすぐ分かるよ。』
俺が早坂に会うことを好意的に思っていなかった悟が優しく背中を押してくれ、俺は堪らず楽屋を飛び出した。