白い羽根とシャッター音
「…よく、わからない」
地面を見ているので、彼がどんな表情をしているかわからないけど、きっとますます不思議そうな顔をしてるんじゃないかと思った。
「そうだよね…、わからないよね」
「でも、名前がないなら付ければいい」
「え…?」
そんな彼の言葉に、彼を見上げる。
「ないなら、自分で付ければいい」
「え?で、でも…」
名前を付けるって言っても…。
そもそも、まだ見習いの私が勝手に自分で付けていいものなのだろうか…。
いや、彼は事情を知らないのだから、思ったことを言ってくれただけなのだろうけど。
「ずっと君のままじゃ、呼びづらい…」
眉間に少し皺を寄せ、そんなことを言う彼。
えっと…どうしよう。
「で、でもどんな名前にしたら………」
「さくら」
え…
「『さくら』って名前がいいと思う」
「さくら…」
彼が付けてくれた名前を反復する。
なんでだろう。不思議とすんなりと受け入れられた。