白い羽根とシャッター音
どうしたのかと、彼女に少し近付く。
「………」
彼女は、俯いたまま動かなかった。
近付いてみて更にわかったのは、羽根が本当に背中からはえていることと、作り物ではないこと。
本物の天使なのかな…?
「ねぇ…君は、天使なの?」
ゆっくり首を振りながら、顔を徐々にあげる彼女。
「て、天使じゃ…ない」
「何者なの?」
「それは…えっと…」
再び口ごもってしまった。
………よくわからないけど、人間ではないみたい。
別に、綺麗なものなら何でもいいや。
「わからないけど、君が何者でも別に、いい…。話したくなければそれでいい」
えっ、と声を漏らした後、彼女はびっくりした表情で見上げてくる。
「……えっと、それは、私が人間じゃなくて、変な羽根がはえてて、不思議生物でもいいってこと?あと、勝手に部屋に入り込んでたこととか、何も聞かないの…?」
なんか、言ってることよくわからないけど、なんでもいいか。
コクリと頷くと、彼女はすごくホッとした表情をしていた。
あ…今の表情、すごく写真に撮りたかった。
こうして、彼女との初日の出来事は終わった。