白い羽根とシャッター音





今日は、彼と一緒に彼のスタジオへと来ていた。


もちろん、彼以外に私は見えない。



風景を専門に撮っている彼だが、今日は人物の撮影だと言っていた。




続々とスタッフが集まり、撮影準備を進めていく。


モデルさんもスタジオに到着し、彼と挨拶をしている。


………なんだろう、もやもやする。




あまり表情を変えない彼とは対称的に、モデルの女の人はとても楽しそうだ。



……っ。

いつの間にか、私はスタジオを抜け出し、空へと飛び出していた。








「はぁ…はぁ…」

スタジオの真上、急いで高く飛んだ為、息切れしてしまう。



なんで、飛び出してしまったんだろう…。

別に彼が誰と話していようがいいじゃないか、そもそも人間同士が会話するのが普通だ。


死神の私が、人間…彼と会話するなんて本来あり得ないことだ。



それでも…、

唯一私の姿が見え、会話をしてくれる彼が、他の人と会話をしている姿を見ていられなかった。




私、どうしちゃったんだろう。



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