白い羽根とシャッター音
「お願い、ネロ。もう何も言わないで…心配してくれてるのは、すごくわかってる。でも私、きちんと仕事をするから…」
「……わかったよ」
渋々といった様子だったが、ネロは了承してくれた。
そして、但し…と続ける。
「『死神の心得』を忘れるなよ、今のお前を見てると……」
「うん、大丈夫だよ。ネロ…ありがとう」
何度も何度も、青空の中で読んだ本。
もう見なくてもスラスラ言える位、内容を覚えてる。嫌でも忘れることなんてできない。
「じゃあね、ネロ!またね!」
彼の所に戻ろう。そう思った。
ネロに背を向け、下に向かって飛んでいく。
背後でネロが小さな声で、
白羽根ちゃん
と、何時もの調子で呼んでくれたのがわかった。