白い羽根とシャッター音
寿命
ネロとの出来事から、翌日。
つまり、彼の寿命もあと2日。
「なんか…、今日は心ここにあらず、だね」
彼の部屋でふわふわと宙に浮きながら、膝を抱え込んでいたら、写真のアルバムを整理していた彼から、そんな言葉が聞こえてきた。
「ほんとに、その羽根で飛べるんだ」
ほんの少し微笑みながら、感心したように彼は羽根を見つめてくる。
彼の笑顔を見る機会が増えたように思う。
彼の近くはとても居心地がいい。
でも、そんな彼と過ごすこの時間は、残り2日。
ぎゅっと胸の辺りが締め付けられるように痛くなる。
彼の寿命が尽きるその瞬間を私は見届けなくちゃいけない。
人間は、いずれは皆死ぬんだ。
死神にとって、彼はその中の一人。
たまたま、彼には私の姿が見えて、
たまたま、こうして私と会話をしてる。
そう、たまたまなんだ。
こんなこと、本来あり得ない。
でも、そんなたまたまに甘んじてる私は、死神として失格なんだろうか。
ブンブンと首を振る。
「この羽根、ただの飾りじゃないもの!こうして、ちゃんと飛べるの」
彼に見えるように、パタパタと羽根を動かす。
「うん…可愛い」
か、可愛い!!?
「えっ!?わ、きゃっ!!」
彼の言葉に動揺して、バランスを崩してしまう。
ドサッという音が聞こえたと思った時には、彼に抱えられていた。
ウソ………。