白い羽根とシャッター音
「だから、もういいの。あなたと出会えたことで十分。あなたと過ごしたこの1週間は、すごく楽しかった」
「なにを、言って………!!」
グラッと、地面に倒れる。
そんな私を、彼が抱き起こしてくれる。
「どうした?!」
自らの『死』を持って償う
死神の心得。ちゃんと覚悟してた。
彼がすごく心配そうな顔で私を見つめてくれる。
そんな彼の頬に、そっと手を添える。
「あなたを助けられて良かった…」
「何を言って……」
「そいつは、死神の掟を破り、お前を助けた。だから…死ななくちゃいけない」
彼の言葉を遮り、突然別の声が聞こえてきた。
「ネロ………」
声の方を向いて見ると、複雑そうな顔をしたネロが、地面に仁王立ちして私たちを見下ろしていた。
「君は?」
突然現れたネロに彼が声をかける。
「そこの白羽根と同じ、死神だ」
「君も死神…」
彼は驚いたように、ネロをまじまじと見つめる。
「ネロ…ごめんね、約束破っちゃった…」
「お前は、大馬鹿者だよ。羽根だけじゃなくて、性格まで特殊かよ」
ネロの声が少し震えているように思う。
「なぁ、君。さっき言ってた死神の掟って…?」
チッと舌打ちをした後、ネロは続ける。
「簡単に言うと、人間の寿命を延ばしちゃいけないんだよ!本来その日に死ぬはずだった人間を生かした代わりに、その死神が身代りに死ぬんだ!」