白い羽根とシャッター音
ネロの言葉を聞いた彼は、驚きに満ちた表情で、私に視線を下ろす。
「じゃぁ、さくらが?」
その言葉に私は何も言わず、ただ微笑む。
「どうして、そんなこと!!」
「私ね、この白い羽根が嫌いだったの…」
「…え?」
「私以外の死神って、みんな黒い羽根なの。だから、ずっとからかわれてきた…」
チラッとネロを見ると目を反らされた。
「だからね、あなたが綺麗って言ってくれた時、すごく嬉しかった。たぶん、私……その時からあなたのこと、好きになってた」
「さくら……」
「あと、その名前をくれた時。世界すべてが変わった気分だった。私、死神見習いって言って、正式な死神じゃないの。死神見習いってね、名前がないの…」
「死神見習い…」
「でも、…叶多。あなたが私に名前をくれたから、最後にやっと私にも名前ができた」
支えてくれている、叶多の手をぎゅっと握る。
「こうして触れることができる人間も、叶多だけ」
少しずつ、意識が薄れてくる。
「叶多。これからも、写真…撮り続けてね」
「君は、写真に写ってくれないの…?」
「叶多の写真に写る自分がすごく見てみたいけど、…私はどう足掻いても死神には変わらない。人間にはなれないから…」
「例え、君が死神だったとしても、さくらはさくら」
そう言ってもらえただけで、私は幸せなのかもしれない。