白い羽根とシャッター音





そして


そんな、写真の中でも私が目を奪われてしまったのは、桜の写真。



一本の桜の木から、ひらひらと花びらが散っていく…そんな写真。

丘の上に立っている木なのだろうか。背景には町並みが見受けられる。




その写真の前に立ち、ジッと写真の中の桜の木を眺める。


ひらひらと散ってる花びらは、儚くて。

それはまるで…




「天使が、いる」


「え…」



後ろから突然、声が聞こえてきて振り返ると、そこには黒髪のスラッとした体系の男の人が開けられた扉の前で突っ立っていた。




「君、誰…?」


コクリと首を傾げ質問してくるその彼は、しっかりと私の目を見て言っている。


「な、ななな…」


「な?」



なんで?まさか私の姿が見えているの!??

内心あたふたと慌てる私とは対照的に、彼は冷静にじっと私の反応を待っていた。




い、一旦落ち着こう…。



ふぅーと深呼吸をした後、彼の目を真っ直ぐに見つめ声をかける。




「私の姿が、見えてるんですか?」


コクリと頷き、彼はスッと長い指先を私の背後へと向ける。


「白い、羽根」



しっかりと羽根まで見えていらっしゃるぅぅううーーーーー!



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