打ち上げ花火とミルクティ
彼女たちに目を奪われていた璃梨が前方に視線を戻すと、目の前に大きな男が立っていた。



避ける暇もなく、その大男に真正面からぶつかった。



璃梨の身長は高い方だったが、後ろに飛ばされ、尻もちをついた。



「あ、ごめんね。立てる?」



大男は意外にも優しい声で、手を差し伸べた。



璃梨は遠慮がちに大男の手を取った。



ひょいと持ち上げられる。



「大丈夫?怪我はない?」



大男は心配そうに璃梨の顔を覗き込む。



「あ、はい。大丈夫です」


「それなら良かった。でも、高校生がこんな所にいたら危ないよ。早く家に帰りな。じゃぁね」



大男はそう言って、すぐにその場から立ち去った。



大男を目で追う。



すると、さきほどの制服の彼女たちがいた『桃色学園』の向かいにあるビルの中に入っていった。



璃梨は思わず追いかけた。



別にあの大男がどうというわけではなく、ただ反射的に身体が動いてしまったのだ。
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