打ち上げ花火とミルクティ
グラスの中には恐らく何かしらの酒が入っているのだろう。



制服姿の璃梨は浮いているはずだが、気にする者は誰一人としていなかった。



そこにいる璃梨以外の全員が、前方のステージに夢中だからだ。



ステージの上には銀色の棒が立っていた。



ステージの床から天井まで伸びている。



よく小学校の校庭に設置されている上り棒のようなものだ。



その棒に、一人の小柄な女性が絡みついている。



それが一種のダンスなのだという事に、璃梨はしばらく気がつかなかった。



女性は、上半身はレザーのブラ一枚で下半身は同じくレザーのショートパンツにガーターベルトの付いた網タイツ、黒いハイヒールという姿だった。



真っ黒でストレートの髪は、腰まで伸びている。



そんな格好で棒に絡みついて身体をくねらせているというのに、いやらしさは微塵も感じなかった。



璃梨は、その女に一瞬で魅了されていた。



瞬きも忘れるほどに魅入っていた。
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