打ち上げ花火とミルクティ
女達は、軟体動物のようにくねくねと身体を動かしながら残り少ない客たちの間を行ったり来たりしていた。



ダンスが終わる頃には、ほとんど全裸の女達のTバックには千円札がたくさん挟まっていた。



チップというやつだろうと璃梨は理解した。



しかし、先程の女には到底敵わない。



あの女は、こういう場所に初めて足を踏み入れた璃梨にさえわかるほど、明らかに別格だった。



今必死で色気を振りまいている女達がバカみたいに見える。



裸だという以外には何の魅力もないように思える。



そんな女に、璃梨は声を掛けられたのだ。



何の用なのだろう。



不安に思うが、行かないという考えは微塵ほども浮かばなかった。



行かなければならないという使命感にかられてさえいる。



Tバックに千円札を挟んだ女達は、客たちに愛想を押しつけながらステージ脇へと入っていった。



客たちは立ち上がり、出口へと向かう。



何も言わない、虚ろな目の男たち。



この男たちも、先程の女に魅了されているからこのような表情をしているのだろうか。



璃梨はしばらくボーッとしていた。



あの女を見た時の衝撃の余韻がなかなか去ってくれない。
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