打ち上げ花火とミルクティ
3
長谷川恵斗は、総合病院のロビーにいた。



中学生の頃から通い続けている病院だ。



嗅ぎ慣れた薬品の匂い。



昔はそれが嫌で仕方なかったが、今ではそれも生活の一部となっている。



俺は一生ここに通い続けなければならないのだろうか。



幾度となく頭に浮かんだ質問だったが、誰に問いただしたりもしなかった。



わかっているから。



自分が普通ではないのだと。
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