打ち上げ花火とミルクティ
「何だ、恵斗くんじゃない。もうそろそろ受付免除にしてくれればいいのにね」



あまりにしょっちゅう病院に来ている為、恵斗の顔を覚えている人間は少なくなかった。



この女性の名は、清子という。



「別にいいよ。どうせ暇だし」



恵斗はニッコリと笑う。



「暇じゃないでしょう。恵斗くん、有名人なんだし」


「そんな事無いって。だってほら、誰も気付かない」



恵斗は周りを見渡し、そう言った。



「まさかこんな所にいるとは思ってないだけよ。はい、じゃぁこれね」



清子は恵斗に診察券と携帯電話くらいの黒い機械を渡した。
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