時の彼方に君がいた
0.
彼は両手を空に伸ばしていた


何かを掴もうとするかのように


あのやるせないほど遠い青に


手を伸ばしていた


頬にあどけない笑みすら浮かべて


彼は無邪気に何かを欲していた


昼下がりの陽が優しく降り注ぐ


まるで少年を慈しむかのように


胸を裂くような


透明な光を放つ光景に


『私』は泣いていた


切なくて


愛おしくて


止まらなかった


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