一番星
「よしっ」
そっと手に取り、電話帳のお気に入りから付き合って一年と少しの彼──古宮天斗(このみやたかと)先輩の名前を出した。
別に今更、緊張するような間柄じゃないんだけど。
まるで初めて電話をかけた時みたい。
今までに彼氏がいたことなどなかったあたしにとって、男の人に電話なんてお兄ちゃん以外はほとんど初めてだった。
ばかみたいに緊張して、死ぬかもと真剣に思ったあの時みたいな、そんな気持ち。
初々しさがあると、いつまでもドキドキ感があって長続きするとは言っても、これは違う!
いくら経験のないあたしでも流石にこれはわかる‼︎