一番星




「なんでそんな遠いところ……」



座ることもできず、テーブルを見つめる。

声がどうしたって震えてしまう。



「昔から星の勉強──天文学なんかをしたいとは思っていたんだ。
それで、どうせなら星が綺麗なところがよくて!」



そんな理由なんですか?

そんな、そんな理由で、あたしはひとりになるんですか……?



視線を、上げなければよかった。

そうすれば、先輩の笑顔を見ることもなかったのに。





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