一番星
お兄ちゃんが高校生だった頃と違い短くなって、色も落ち着いた髪。
鞄を床に置き、ネクタイを緩めている。
「え、どうしたの?」
「今日、母さんは外食で父さんは出張だろ?
どうせ近々帰省しようと思ってたから」
うちのさみしがり屋なお姫サマを放っておけないからね、なんておどけてみせて。
心配してくれたのかな。
あたしももう高校生なんだから、ひとりでも平気なのにね。
「ありがとう、お兄ちゃん。
おかえりなさい」