一番星
さみしさを知っていると。
先輩の晴れ舞台、卒業式でありながらこの後のことを考えて、全く集中することができなかった。
ポツポツと涙する人がいる中、そわそわと纏う空気があたしだけ違う。
眠そうにしている人とどっちがマシなのかな。
先輩と目が合わないまま、式が終わる。
さみしげなのにどこか晴れやかな表情を浮かべた三年生たちが体育館から退場した。
あたしたち一年生、そして二年生たちも片づけに駆り出される。
親御さんや招待客の方々が出て行くのを尻目に、急いでパイプ椅子をガタンッと持ち上げた。