Innocent Love
prologue
窓の外
いつもと変わらない空。
昨日より、雲の流れがゆっくりだな。
もう小さい頃からずっと見ている白いベッドの上で眺める小さな窓の景色。
退院出来たと思ったら、また入院……。
「学校で友達作りたいな……」
私以外誰もいない個室の病室には私の声と点滴の落ちる音だけが響く。
早く、慎お兄ちゃん来ないかな?
壁に掛けてあるモノクロの時計に目を向けると短い針が六を指していて、長い針が十二を指していた。
もう、十八時……。
いつもなら、そろそろ来るのにな?
ベッドの横にあるテレビにカードを挿して、テレビを付けると【大人気のバンドグループのGenerationsに取材】と大きく書かれていた。
あ、慎お兄ちゃん……。
テレビの画面には見慣れた慎お兄ちゃんが映っていた。
テレビの中のお兄ちゃんは、いつもの優しい暖かな笑みではなくて張り付けたような笑みを浮かべていた。
ビジュアル系バンドグループだから、テレビの中のお兄ちゃんはお化粧していた。
綺麗……。
テレビの中のお兄ちゃんに見惚れていたら白い扉がいくなり開かれる。
「…………!?」
テレビから目を離して扉に目を向けた。
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