大嫌いな君。
「ってか橘は?こんな所でなにしてんの?」


あはは〜と恥ずかしげに言ったあとにそう聞かれた


「⋯靴、ないんだよね」

別に隠す必要も感じなかったから素直に話す

でも言ったあとで少し不安になる


哀れまれるかな、笑われるかな



「え、なんで?」

そう、真剣な顔で今永は聞いてきた


「分からん、でも最近続いてるんだこういうこと」

「そっか⋯」



それだけ呟いて今永は自分の靴を下駄箱から取り出す


⋯帰るか


別に助けを求めようって訳でもない

これは自分の問題だし⋯







「あのさ、私折りたたみのスリッパ常に持ってるんだよね!それでよかったら履かない?」



⋯は?


「そんでもって、1人でスリッパで歩いてたら恥ずかしいだろうから一緒に帰ろうよ!家近いんだし⋯あ、スリッパ大人用だから結構大きいよ」

今永は笑ってそう言う






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