box of chocolates
 貴大くんの温かい手が、優しく私に触れる。女性の扱いに熟れている八潮さんとは違い、少々ぎこちない感じがした。お互いに顔を紅潮させたまま、みつめ合っては口づけて、体温を感じながらゆっくりと時間は流れた。貴大くんと深く愛し合い、結ばれた後は、心の底から愛しさと幸せを感じて、涙が零れた。
「ごめん。もしかして、痛かった?」
「違うの。貴大くんに愛されて、幸せで」
 八潮さんとの行為の後はいつも後悔しかなかったから。
「本当に? 自分も幸せだよ。ありがとう」
 みつめ合って、また口づけた。
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