box of chocolates
晩ご飯は家族三人で、会話という会話もなく、淡々と食べた。テレビから聞こえる賑やかな音が耳障りで仕方なかった。食べ終わるとすぐ、風呂に入り、部屋に戻った。いつもは楽しみな日曜日の夜なのに、頭の中は空っぽだった。ベッドに寝そべったところで、まだ寝るような時間ではなかったし、昼寝をしてしまったせいもあり、寝付けるはずもなかった。ただただぼんやりと時間だけが過ぎていった。そんな中で、突然、スマホが着信を告げた。 貴大くんからだった。いつもと変わらず、明るい声で返事をしようとした。だけど貴大くんの声を聞いたら、胸がいっぱいになって。流れる涙のせいで、声が上擦った。
『今から、会いに行ってもいいかな?』
『うん、待ってる』
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