box of chocolates
薬指の約束
 涙を拭いて、笑顔になってから、プレゼントを探しに行った。アンティーク街の一角にある雑貨屋で、カフェオレボウルを買った。ご夫婦は、コーヒーよりもカフェオレが好きだと言っていたからだ。
「次は、自分たちのお土産を買おう」
 貴大くんは店を出て、そう言った。そういえば、自分の土産は何も買っていなかった。ぶらぶらと歩いていると、とあるアクセサリー店のショーウィンドーに目がいった。それは、魚をモチーフにしたアクセサリー。シンプルでかわいらしかった。
「ねぇ、ちょっと入ってみていい?」
「bonjour」と挨拶をしてから、店内をのぞいてみる。職業柄、あまりアクセサリーはつけないけれど、かわいらしいデザインに心が躍った。
「これなんか、どう?」
 貴大くんは、ペアリングを指差して言った。


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