box of chocolates
ダービージョッキー
「帰ろうか?」
「そうね」
父と母が呟くように言った。
「この後、表彰式があるんだけれど」
「杏はゆっくり見て帰りなさい。ほらっ! もっと前に行かないと見えないよ!」
母が背中をおした。
「ありがとう。ゆっくり見てから帰るね」
「落ち着いたら、挨拶に来るように」
ふたりに手を振ると、少しきまりが悪そうに、父が言った。口を開くと泣いてしまいそうになり、笑顔で大きく頷いた。
「気をつけて帰ってくるのよ」
母が手を振って、ふたりは出口に向かった。
「ありがと」
人ごみに紛れていくふたりの背中を見送って、私は、ターフビジョンに目をやった。スタートからのリプレイ映像が流れている。それはほんの数分のはずなのに、深く胸に刻まれて感動した。
「そうね」
父と母が呟くように言った。
「この後、表彰式があるんだけれど」
「杏はゆっくり見て帰りなさい。ほらっ! もっと前に行かないと見えないよ!」
母が背中をおした。
「ありがとう。ゆっくり見てから帰るね」
「落ち着いたら、挨拶に来るように」
ふたりに手を振ると、少しきまりが悪そうに、父が言った。口を開くと泣いてしまいそうになり、笑顔で大きく頷いた。
「気をつけて帰ってくるのよ」
母が手を振って、ふたりは出口に向かった。
「ありがと」
人ごみに紛れていくふたりの背中を見送って、私は、ターフビジョンに目をやった。スタートからのリプレイ映像が流れている。それはほんの数分のはずなのに、深く胸に刻まれて感動した。