box of chocolates
 今年のダービー馬となったスノードロップは、厩務員さんに曳かれて、観客の前に再び姿を現すと拍手と歓声が響いた。 そして、今年のダービージョッキーとなった貴大くんが姿を現した。ペコペコ頭を下げながらやって来る姿が貴大くんらしくて、涙がこらえきれなくなった。でも、今泣いてはいけない。表彰式をしっかりこの目に焼き付けなければ。せっかくの晴れ舞台なんだから。急いで涙を拭いて拍手を送った。表彰式では、調教師、調教助手、厩務員、馬主、騎手が表彰される。そして、記念撮影。関係者たちは、ダービーという栄光を手に入れ、喜びを分かち合っていた。
スノードロップに跨り、笑顔を見せる貴大くんを私は誇りに思った。そして、こんな素敵な男性に愛されている私は、この世の誰よりも幸せ者に違いないと思った。記念撮影が終わり、勝利騎手インタビューの準備が整った。

『今年のダービージョッキーとなりました、戸田貴大騎手です。おめでとうございます』
『ありがとうございます』
『スタートから振り返って下さい』
『いいスタートができました。スノードロップと呼吸を合わせて、三〜四番手でレースを進めました』
『最後の直線での攻防は』
『そうですね。三頭横一線で叩き合いになった時は、スノードロップの力を信じて、精一杯追いました』
『いちばんにゴールを駆け抜けた時は、いかがでしたか?』
『正直、ゴールした時は勝ったか負けたかわかりませんでしたが、スノードロップの力を信じていたので、大丈夫だと思いました』
『昨年の菊花賞に続きGⅠ、二勝目となりましたが』
『いい馬に乗せていただけて、関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです』
『最後に、ファンの皆様へメッセージをお願いします』



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