box of chocolates
車は、バーベキュー場までやってきた。兄が場所の手配や、必要な道具、材料の調達まですべてやってくれていた。火の準備も手際良く、戸田さんにうまく指示を出して、火の準備以外の準備をさせるものだから、私ととわさんは会話がはずんだ。ひと通り準備が整い、肉を焼きはじめると、戸田さんが早く食べた気に網の上の肉を見ていた。その目が、まるで待てをしている犬のように見えて、笑いを堪えた。
「いいよ。食べて! 食べて!」
 兄のひと言に、待ってました! と言わんばかりに肉に箸を伸ばす戸田さん。堪えきれず、みんなで笑った。
「あれ? なんかおかしかったですか?」
「戸田くんはホント、痩せの大食いだね」
 兄が言う通り、戸田さんは小柄で痩せている……と言うよりは、小さいと言う表現がピッタリな感じの人だ。私と、ほとんど身長差がないけれど、体重は私より軽いのかもしれない。職業柄、そのほうが良いかもしれないけれど。
 
 青空の下、みんなで賑やかにバーベキュー。こんな休日もいいな。最近の私の休日は、家に閉じこもることが多かったから。
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