box of chocolates
ランチのパスタは日替わりでニ種類、スイーツは五種類の中から選べた。パスタはふたりで別々の物を注文した。私は、パスタよりもスイーツが気になった。
「スイーツ、どれにしよう? 秋だし、やっぱりかぼちゃプリンかな」
「オレは、ガトーショコラ」
 貴大くんは、迷わずそう言った。
「チョコ、好きなの?」
「うん」
 即答する貴大くんが、たまらなく愛しい。それなのに、笑顔だった貴大くんが急に真顔になった。何事かと思い、貴大くんの視線の先を追いかけた。
「おっ! こんにちは。仲良くデート?」
 まさか、こんな場所で八潮さんと会うとは。何の断りもなく、私の隣に座った。
「こんにちは。八潮さんは、食事ですか?」
「食事と言う名の視察だよ。ダンデライオンと似ているって聞いたし」
 八潮さんは、仕事に関しては真面目だから。この偶然は仕方ないと思った。

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