お伽噺を紡ぐふたり
「あなたは…魔法使い様なんですか?」
「どこにでも行けるが、どこにいきたい?」
「私はあなたに拾われた、自由にしていいんですよ。私があなたに助けられることを望んだのは、あなたがあの新しい飼い主よりまともそうだと思ったからです」
下を向きながら、彼の腕を掴んだ。その時、強く風が吹いて、顔まですっぽりと覆っていたビロードが捲れる。黒の髪が艶々と光る。瞳が獣のような赤い光彩を放っている。
整った顔立ちに見つめられているのに気付き、あわててまた下を向いた。
「君の価値は、君自身のものだ。今、君は自由だ。何もかも君が決めればいい、さあ、君はどうしたい?」
「…私は…外なんて、想像したことなかったから…」
また、一迅の風が吹いて、少女の綺麗な髪を弄ぶ。目があう、なんて綺麗な目をしているんだろう。汚い欲望で、相手の事も考えずに詮索しようとする、そんな大人の目しか見たことがなかった少女はただ、その男にみとれていた。諦めていた、けれど、心の奥底では求めていた、憧れの自由を持つ、美しい男に。
「お前、名前は?」
「どこにでも行けるが、どこにいきたい?」
「私はあなたに拾われた、自由にしていいんですよ。私があなたに助けられることを望んだのは、あなたがあの新しい飼い主よりまともそうだと思ったからです」
下を向きながら、彼の腕を掴んだ。その時、強く風が吹いて、顔まですっぽりと覆っていたビロードが捲れる。黒の髪が艶々と光る。瞳が獣のような赤い光彩を放っている。
整った顔立ちに見つめられているのに気付き、あわててまた下を向いた。
「君の価値は、君自身のものだ。今、君は自由だ。何もかも君が決めればいい、さあ、君はどうしたい?」
「…私は…外なんて、想像したことなかったから…」
また、一迅の風が吹いて、少女の綺麗な髪を弄ぶ。目があう、なんて綺麗な目をしているんだろう。汚い欲望で、相手の事も考えずに詮索しようとする、そんな大人の目しか見たことがなかった少女はただ、その男にみとれていた。諦めていた、けれど、心の奥底では求めていた、憧れの自由を持つ、美しい男に。
「お前、名前は?」