お伽噺を紡ぐふたり
「…名前はないです、買ったあとにつけてくれるような粋な飼い主はいないから…」
大体の飼い主は、半獣の体を面白がり、悪戯し、醜い欲望を満たすための矮小な存在にしてしまう。人間ではないから、好き勝手しても許される。そういう扱いなのだ。
「モノに名前をつける馬鹿はいないから」
少しおどけていうと、その男は険しい顔をした。
「お前はモノじゃない」
「同情しないでください。この世界じゃ、私みたいな生き物は、何一つだって望めやしないんですから」
「お前は可哀想なやつだ」
「…やめてください」
「一つの価値観しか得られずに、自分の小さな世界で一生をおえるんだ」
「やめてください!!」
久しぶりの大声に喉がびりびりする。だって仕方ないじゃない、少女は心の奥で呟いた。違う世界をみてしまったら、もうこの世界には戻れない。浅ましいくて汚い大人と同じになってしまう。
ぽろり、と涙が零れた。悲しいんだろうか、それさえもわからずに涙を流した。男はゆっくりと空から下降し、地面に少女をおろした。
大体の飼い主は、半獣の体を面白がり、悪戯し、醜い欲望を満たすための矮小な存在にしてしまう。人間ではないから、好き勝手しても許される。そういう扱いなのだ。
「モノに名前をつける馬鹿はいないから」
少しおどけていうと、その男は険しい顔をした。
「お前はモノじゃない」
「同情しないでください。この世界じゃ、私みたいな生き物は、何一つだって望めやしないんですから」
「お前は可哀想なやつだ」
「…やめてください」
「一つの価値観しか得られずに、自分の小さな世界で一生をおえるんだ」
「やめてください!!」
久しぶりの大声に喉がびりびりする。だって仕方ないじゃない、少女は心の奥で呟いた。違う世界をみてしまったら、もうこの世界には戻れない。浅ましいくて汚い大人と同じになってしまう。
ぽろり、と涙が零れた。悲しいんだろうか、それさえもわからずに涙を流した。男はゆっくりと空から下降し、地面に少女をおろした。